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パブリック

パブリックが生み出す力。




Facebookをはじめたとき、シェアするって行為は何なんだろう?っていうのが漠然と疑問だった。そんなときにBRUTUSを読んでいて、たまたまこの本を見つけたので図書館で予約して借りてみた。

この本は、パブリックにすることの強力なメリットを教えてくれる。個人の場合、シェアすることで集合知の恩恵を受けられる。病気になった事をパブリックにする事で、経験者のアドバイスが受けられる事はとても心強い。企業の場合、パブリック・透明性はユーザの信頼につながる。透明性は誠実さを高める。マーケティングにも有効で、パブリックであればユーザのニーズを直接聞く事ができる。政府も隠蔽に注力するより公開を原則としたほうが効率も信頼も上がる。ということが、膨大な取材と著者の経験から切々と語られる。

インターネットの巨大企業がパブリックな個人情報をかき集めている事についても言及してる。そこにはプライバシーの問題が付きまとう(ドイツはプライバシーの意識がとても高いらしい)。でも、プライバシーを守り、クローズドになるよりも、オープンでいることの方が遥かにメリットが大きいと教えてくれる。沢山の例を添えて。たとえば、Googleはインフルエンザについての検索の分布を調べる事で、どこの地域でインフルエンザが流行しているかを、タイムリーに予測する事できる、とか。(そうか、Googleには、もはやそんな力があるのか・・・。)

そして、著者はインターネットのパブリックな力を、グーテンベルグ印刷機になぞらえて考える。グーテンベルグの印刷技術は書籍やニュースの流通を劇的に変え、知を民衆の物にした。それは、ルネサンスの拡大につながり、宗教改革の下地にもなった。インターネットのパブリックな力も、アラブの春という革命を引き起こした。今も、その変革の時の中にいる。パブリックな力が、これからどう世の中を変えるかは、分からない。ただ、このパブリックな力は守らなければならない。政府や国家が規制してはならない。ユーザが守らなければならない、と著者は訴える。


正直、自分が求めていたものとはちょっと違う内容だった。でも、とても勉強になった気がする。知らなかった有名なWebサービスをいくつか知ることができた。Facebookでシェアするときのちょっとした心構えも教えてくれた。

あと、この本に出てきた次の文章が心に引っかかった。

  • 生まれた時すでにこの世に存在したものはすべて、当たり前である。
  • 30歳までに発明されたものはすべて、ありえないほどエキサイティングでクリエイティブであり、運が良ければそれを仕事にできる。
  • 30歳以降に発明されたものはすべて、自然の摂理に反する、文明の終わりの始まりである。  
ダグラス・アダムス

やべ。もう30歳こえちゃったな。。

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